「やはり“東北への思い”は誰にも譲れないものがあります。自分にはある夢があって。東北からプロ野球選手がもっとたくさん出て欲しいという思いが常にあるんです」

 これは以前、銀次選手が話していた言葉だ。

 近年の仙台育英高校の躍進や、大谷翔平選手、佐々木朗希投手の活躍など、東北の野球のレベルの高さは、国内のみならず世界にも証明済みだ。その中心地、仙台を拠点にする東北楽天ゴールデンイーグルス。今年は春先の躓きが響いたが、夏場から調子を取り戻し、客足も戻りつつある。勝つことが一番のファンサービスとはよく言われたものだが、それと同じくらい重要なことは、「地元・東北出身選手の活躍」ではないだろうか。

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 球団最年長右腕の岸投手はここまでチームトップタイの7勝を挙げ、ローテーションを守り続けている。

 東北出身で気がかりな存在は、やはり銀次選手だ。野手としては、学年では炭谷選手と並んで球団最年長である。東北への思いが人一倍強い銀次選手。多くのファンが、再び1軍で活躍する日を待ち望んでいる。

銀次 ©時事通信社

コンディションはバッチリです

 生まれは岩手県普代村。太平洋に面した、人口約2500人の長閑な町だ。ウニ、鮭、いくら、マツモと呼ばれる海藻など、多くの海産物が名産である。盛岡中央高校を経て2006年ドラフト3位で入団。2012年からレギュラーに定着すると、2014年には打率.327を残し、シーズン終盤まで糸井選手と首位打者争いを展開した。そんな銀次選手だが、今シーズンはまだ1軍でのプレーがない。これだけ長く2軍暮らしが続くのは、まだ1軍出場経験のなかった2009年以来となる。それでも、本人からは意外な答えが返ってきた。

「苦しくはないです。楽しいです。三木監督から教えてもらうことがたくさんあるし、毎日新鮮です。自分自身を追い込んで、ランニングを多めにやったりとか、これまで出来なかったことをじっくりやれています。常にポジティブに考えてやっています」

 練習熱心な銀次選手。プロ18年目を迎えた今年も、決して腐ることなく、この状況をポジティブに捉え、さらなるレベルアップを図り日々鍛錬を積んでいる。それでも当然、一日でも早く昇格したいという思いは持ち続けている。

「もちろんここにいてはダメなので、早く上がれるようにしたいです。早く上がって、宮城や東北のみんなに、銀次頑張ってるなと思われるようなプレーをしたいです」

 ファームでも安定感のある打撃で、結果を出し続けている。

「コンディションはバッチリです。いつ呼ばれてもいいように準備をしています」