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「ネズミにかじられ、眼球はむき出し」「死後時間が経過して顔が真っ黒」…現役納棺師(26)が明かす“遺体修復”現場のリアル

「ネズミにかじられ、眼球はむき出し」「死後時間が経過して顔が真っ黒」…現役納棺師(26)が明かす“遺体修復”現場のリアル

宮本千秋インタビュー #1

2024/05/21
note

「遺体の顔の半分以上をネズミに食べられてしまった」

宮本 顔をネズミに食べられてしまったご遺体ですね……。

 代々続く伝統のある日本家屋の主が他界されて、最初はエンゼルメイクで伺い、滞りなく終わったのですが、翌早朝にご遺族から「夜中に、遺体の顔の半分以上をネズミに食べられてしまった」と連絡があったんです。

エピテーゼに用いる素材

 伺うと、ご遺体は昨日メイクしたものとはまるで違う無惨な状態。お顔の上半分がネズミに齧られ、眼球はむき出しになり、鼻もなくなっていたんです。

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 朝起きて、ご遺体がこのような状態になっていたのを発見したご遺族の気持ちを考えると、本当にいたたまれなくなりました。「このお顔を故人の最期の顔として記憶してしまうことは、絶対にあってはならない」と思いながら、まずお顔の印象がわかりやすいお写真をお借りし、事務所に戻って、シリコンを使用して欠損部の型を一晩かけて作りました。写真はお見せできないのですが、顔に張り付けるマスクのようなものですね。

さまざまな道具を駆使して修復に臨む

 ただ、翌日、再度ご自宅へ伺ってお顔に合わせたところ、どうしてもご本人の印象と合わない部分があり、また一晩かけて……2、3日はほとんど寝ずに作業を行いました。

 修復後、ご遺族から泣きながら感謝を伝えられたとき、修復が終わった安堵とともに、故人やご遺族のご希望に応えられる技術の大切さを再認識しました。たとえ火葬されるまでのわずかな時間だとしても、どのようなお顔で送り出すかということが、ご遺族にとっては心のケアになるのだと信じています。

――技術的なハードルに加え、精神的にも負担の重い仕事だと思いますが、一番のやりがいは?