予想を大きく覆したフランス戦
身長224cmのNBA新人王ビクター・ウェンバンヤマ、216cmのNBA最優秀守備選手ルディ・ゴベアという大会屈指のインサイドを誇る開催国フランス。ブックメーカーのフランス勝利オッズは軒並み1倍台前半と、もはや賭けが成り立たないレベルだった。
しかし開始直後から、好調なアウトサイドシュートと粘り強いディフェンスにより、フランスと互角に渡り合う予想外の展開。先のEurohoopsは、「日本は紙面上において簡単な獲物と評価されていたが、コート上ではそうではなかった」と記している。
コート上でもっとも得点力のあるプレーヤーは八村であり、ダブルチームをものともせず得点を挙げる姿は世界中のバスケファンに強烈なインパクトを与えた。しかし、第4クオーター序盤、8点差から自身の連続スリーで2点差に詰め寄った直後、ルディ・ゴベアへのファウルがアンスポーツマンライクファウルと判定される。
八村が退場処分を言い渡された瞬間、ネット上では審判の判定に対する不満が噴出した。日本だけでなく、さまざまな言語で「フランスびいきの判定」を糾弾する投稿が見られた。
FIBAルールのアンスポーツマンライクファウルは、多くの点でNBAルールにおけるフレグラントファウルと共通している。しかし、フレグラントが主に「接触の危険度」を基準としているのに対し、アンスポは「接触がボールを追うなかで生じたものか=バスケットボールのプレーとして自然な動きであるか」が基準になる。
NBAでは日常茶飯事のプレーがルールの差によって退場の原因になったことに対して、とくにNBAファンからの不満が目立った。八村が所属するロサンゼルス・レイカーズのファンサイト「LAKERS NATION」では、試合後に「延長で敗れたフランス戦、八村塁が不可解な退場処分を受けた」という見出しの記事がリリースされている。
しかし、そんな八村の退場後、日本は想定外の粘りを見せた。絶望的な状況から流れを手繰り寄せられた一因は、サイズ面で大きなハンデを抱えていた河村勇輝の活躍に違いない。しかし、海外バスケファンが驚いたのは、河村だけでなく、ダークホースともいえるある意外な選手の存在だった。
日本代表が、圧倒的な格上の存在と言えるフランス代表に対し、勝利目前まで迫れた理由とは――。