パリ五輪においてバスケットボール男子日本代表は0勝3敗で大会を終えた。勝敗数だけを見れば、惨敗といって差し支えない。しかし、試合内容はどれも濃く、日本のバスケファンが長年夢見てきた、世界と対等に渡り合える代表チームの姿が、そこにはあった。

 なぜ、日本代表は世界的強豪にひるまず戦えたのか。チームに貢献していたのはどの選手だったのか。世界のバスケファンの反応を紹介していく。

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神がかり的な河村の活躍、そして…

 フランス戦の第4クオーター序盤。八村塁が二度目のアンスポーツマンライクファウルを取られ、退場を余儀なくされた。

「終わった」「最悪」「審判ふざけんな」と、恨み節とともに終戦ムードが漂うネット上に対し、コート上に残されたプレーヤー達は士気を落とさなかった。とくに河村勇輝は、八村の退場から第4クオーター終了まで日本が挙げた14得点のうち10得点を決めてチームを牽引。試合後に相手コーチが「取り憑かれた状態」と評したように、極限の集中状態でしかなしえないパフォーマンスを見せた。

 絶望的な状況から一気に流れを引き寄せたその英雄的な活躍に、英語圏でも「Kawamura GOAT(河村は史上最高の選手だ)」といった驚きの声が寄せられ、フランスのX上ではトレンド3位に「Kawamura」がランクイン。なおこの試合のあと、FIBAは河村の特集記事をリリースし、日本の「記憶に残る歴史的パフォーマンスの主軸」と評している。

 河村が残り5分8秒で逆転のレイアップを決めてから、約4分間にわたってスコアが硬直するなか、流れを引き込んだのが渡邉飛勇のブロックだった。

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 残り1分33秒、1点差の場面で身長216cmのルディ・ゴベアによる逆転のダンクを完璧にシャットアウトしたそのプレーに、英語圏でも「ありえない」「なんてこった」といった投稿が並ぶ。アメリカの放送局NBCは試合後のレポートで、「渡邉飛勇がルディ・ゴベアのダンクに対して怪物的なブロックをお見舞いしてリードを守ったとき、運命は日本の側にあるかと思われた」と記述している。海外のバスケットボールファンを最も驚嘆させたといって差し支えないプレーだっただろう。

 その後、河村とホーキンソンのコンビプレーや河村のフリースローによってリードを広げ、残り16秒の時点で4点差。歴史的勝利は目前と思われた。

 しかし、今大会グループフェーズ最高のミラクルショットが勝負をイーブンに戻す。フランスのPG、マシュー・ストラゼルが河村の厳しいシュートチェックからファウルを誘い込み、3ポイントを沈めたのだ。フランスにとって、起死回生の4ポイントプレーだった。