ベスト8まで「あとほんの少し」
グループフェーズを終えたあと、FIBAは大会のパワーランキングを更新。11位に位置づけられた日本代表に関する記述には、今回の男子日本代表を応援しつづけていた我々の心情を代弁するような箇所がある。
「彼らは0勝3敗で大会を終えたが、実際のところ2勝1敗まであとほんの少しのところだった」
フランス戦でファウルを吹かれていなければ、ブラジル戦で欠場がなければ。2勝1敗、あるいは1勝2敗でグループフェーズを突破し、日本バスケの歴史が変わるかどうかは、「小さな偶然」の違いでしかなかったのかもしれない。
FIBAの記述はこう続いている。
「バスケットボールでは、ときにこういうことが起きる。偶然の運命が相手の方に転がっていき、まったく異なる物語になってしまうことが」
日本のバスケファンが長年夢見てきた物語。部活人口の多さに対し、観戦スポーツとしての人気獲得に苦戦しつづけたバスケットボールが、男子日本代表の躍進でようやく日の目を見ることになる。そうした歴史の証人となる瞬間が、もうすぐそこにまで迫っていた。
それだけの偉業を達成できる力が、今回の代表にはあった。一方で、強豪国との緊迫した試合の経験が少ないこと、あるいは八村や渡邊、ホーキンソンの出場時間を長く取らざるをえなかったことが、「あとほんの少しの差」を分けた面もあるのかもしれない。
いずれにせよ、3試合の観戦を終え、今回の男子日本代表に対して感謝の念を抱いた人も多いのではないか。体格差に劣る相手に対して全力で戦い、各々がチームに貢献しつづける姿は、私たちに大きな勇気と希望を与えてくれた。
「あとほんの少し」にまで詰まった世界との差。次のロサンゼルスの出場枠獲得に向けてまた厳しい戦いが始まるが、4年後にまた彼らが世界を沸かせる姿を期待してやまない。