生まれ故郷の横浜からはじまる日本シリーズには間に合わなかったが…
しかし、懸命に腕を振り続けた中でアクシデントは起きてしまった。
9月4日のファイターズ戦の3点リードの9回、先頭打者に5球を投げて四球を与えたところで緊急降板。試合後、右肩に疲労性の痛みを抱えていたことが明らかになった。その日以前から疲労による張りが取れるのが遅くなっており、間隔を空けながら登板をしていた。当初は痛みという認識ではなく回復しきっていないという感覚だったようだが、倉野コーチは「ブルペンでもうちょっと早く判断できれば良かった」と悔いた。
また、試合は緊急でリリーフした大山凌と岩井俊介のルーキーコンビが打ち込まれて逆転負け。
「何だろう……。応援というか、祈るしかないところだったんで。苦しい場面で、大事な試合というのもみんなで共有してた中での9回。(大山は)多分投げたことない緊張感だったと思う。(少し涙声になって)もともと僕があそこでみんなを信頼して投げないっていう選択肢を取れば、ああいうことにもならずに行ったのかなっていう思いもありながら、なんだか本当に申し訳ないっていう気持ちでいっぱいでした」
松本は心の揺れが少ない男だ。だからリリーフという過酷な仕事の中でも最高のパフォーマンスを出し続けてきた。こんな日、報道陣にもしっかり応対した。ただ、ほんの一瞬、その声が上ずっていたのだった。
「やれることは全部やって、一日でも早く元のパフォーマンスを取り戻してチームの戦力になれるように」
そう語っていたが、生まれ故郷の横浜からはじまる日本シリーズには間に合わなかった。
今は仲間を信じるのみ。そして己の復活も信じるのみだ。松本は過去に、右肘の故障を乗り越えた。だからこそ今がある。
来年、日本一のチャンピオンフラッグを背にマウンドに立ち、背番号66は必ずまた輝いてくれるはずだ。
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