日本のスーパーゼネコンの一角を占める名門企業・大成建設。同社の山内隆司前会長(79)は昨年、名誉顧問の職を突然解かれ、その解雇が不当として同社及び相川善郎社長を相手取って民事訴訟を起こした。この訴訟で山内氏は「企業統治」の現状に疑問を投げかけている。(本文敬称略)

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不祥事の時こそ働くべし

 ――日本の大企業はたいてい社外取締役や監査役を置き、何かことがあればそこをチェックする建前になっているが……。

「残念ながら日本の会社制度では、その社外取締役や監査役が機能していません。昨今、世間を賑わせてきた『ニデック』や『フジ・メディア・ホールディングス(FMH)』、『日産自動車』、さらには最近話題になっている『プルデンシャル生命』など、数え上げればきりがない。たとえばニデックは創業者の永守(重信)CEO時代の不適切会計です。ワンマン体制と言われたその時代にあっても、立派な社外取締役や監査役がいた。それが何の役にも立っていない。自動車修理の『ビッグモーター』事件でも、不祥事にかかわった『損保ジャパン』の自浄能力が働かず、迷走しました」

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不適切な会計処理をめぐる問題で、第三者委員会の調査報告書公表を受け記者会見で謝罪するニデック経営陣 ©時事通信社

 モーターメーカーのニデックは創業者の永守によるM&A(企業買収)戦略で急成長したとされた。だが、中国の子会社などを巡る不正経理が浮かび、永守は25年12月に代表取締役を辞任。非常勤の名誉会長に退いたが、それも2月下旬に辞めた。ニデックはときを同じくして工作機械メーカー「牧野フライス製作所」の買収を巡るインサイダー取引などでも社内が揺れ続けてきた。

 また、故意に自動車に傷をつけ、保険金請求の対象となる修理費用を水増ししていたビッグモーター事件では、損保業界大手の損保ジャパン問題も浮上した。ビッグモーターのでっち上げてきた自動車修理を損保が黙認し、双方が一蓮托生となって業績アップに協力してきた実態が明るみに出る。

「金融庁が損保ジャパンを問題視したのですが、損保ジャパンの櫻田(謙悟)さんは、当初、何食わぬ顔で会長のまま居座り、引責辞任するまでずいぶん時間がかかった。櫻田会長は経済三団体の一つである経済同友会の代表幹事をやっていて、それも辞めようとしなかった。財界のトップのいる会社でさえ、金融庁に詰め腹を切らされるまで何もしなかったわけです。