20代にして病気でもないのに体力が極端になく、働くこともできなければ、恋愛する元気もない。そんな虚弱体質で生きる悲哀を綴ったエッセイが話題。
「著者が『現代ビジネス』に寄稿した虚弱についてのエッセイが、辛い内容なのにユーモアがありました。ちょうど“風呂キャンセル界隈”という言葉が広まっていた頃。みんなが感じていたけれど可視化されていないことがキャッチーな言葉と結びついたときにブレイクすると感じ、虚弱もそのようなワードになるのではと考えました」(担当編集者の宮川彩子さん)
著者は21歳からさまざまな不調に見舞われ、体力がなくなりはじめた。就職活動もままならず、ハローワークではフルタイム勤務ができないことを理由に障害者枠でも門前払いに。関節痛などにも苦しめられ、20代にして老人のような体だという。執筆活動で生計を立てるようになったものの、体力のなさから量をこなせない。
「年収が100万円に満たないという原稿が届いたときは驚きました。しかし同時にそこまで赤裸々に明かす著者の覚悟も感じました」(宮川さん)
本書ではなぜ虚弱なのか、その理由も探っているが、これといった原因が突き止められたわけではない。運動や食事などの改善も試み、一定の効果はあったようだが、それでも一般的な20代の体力には遠く及ばない。その状況を著者は〈健康がスタートラインだとしたら、私はずっと、スタートラインを目指している〉と嘆く。
「発売のひと月くらい前に告知をしたところ、SNSで評判を呼び、手応えを感じました。最初はカルチャー寄りの媒体からの引き合いが多かったんですが、次第に新聞などからも問い合わせが来るように。働き方を問い直し、問題提起するテーマの強さがあったからだと思います」(宮川さん)
虚弱な人からの共感だけでなく、自分はタフだが家族や身近な人が虚弱という読者から、理解が深まったという声も。依頼が増えた著者は、疲れすぎない働き方を模索中だそう。
「近藤麻理恵さんの影響で、英語圏では〈KonMari〉が『ときめきを基準に片付ける』という意味に使われているそう。〈虚弱〉という言葉も、世界デビューさせたいという野望を抱いています」(宮川さん)




