人間の姿形に変身した異星人の少年2人が地球にやって来る。辿り着いたのは観光地でも何でもない日本の「ふつうの街」。だが彼らにとっては謎だらけの場所。道路の標識、マンホール、擁壁、川の中州。2人が「何だこれは!」と目を見開いて驚いていると、詳しい人物が現れてあれやこれやと教えてくれる――。漫画家・イラストレーターの著者が制作に5年を費やした児童書が大ヒット中だ。
たとえばハトは街中になぜたくさんいるのか。そこには繁殖能力の高さが関係している。オスもメスも季節に関係なく「そのう」という器官で作られるミルクを子に与えて一年中子育てができるという。他にもビルの屋上のクレーンはどうやって運ばれるのか、建物の入口にある「定礎石」とは何なのかなど、大人も知らない謎が次々と明らかになる。読後は身近な景色の解像度がグッと上がるはず。
担当編集者は『東大教授がおしえる やばい日本史』(シリーズ累計94万部)、『いのちをまもる図鑑』(25万5000部)等のヒット作を手掛けてきた金井弓子さん。
「著者は日頃から朝5時に起床し家を出て、電線や看板、落書きなどを鑑賞するようなストイックかつ味わいのある散歩をしていらして(笑)。本書はその路上観察がベースになっています。企画スタートの際、著者には『300ページ超のボリュームたっぷりの本にしましょう』と提案し、『圧倒的な絵を描いてほしい』とお願いしました。とにかく読者をひと目でギョッとさせる本を作りたかったんです。人はびっくりした本に出会うと、思わず買ってしまうので」(金井さん)
数えきれない程の空き缶とペットボトルの山、服を着た犬の集団など、すべて手描きという絵は確かにどれも精密でインパクト抜群。
「面白い絵を作りだすためなら手間と時間は決して惜しまない、という覚悟を著者が決めてくれた。おかげでページをパラパラとめくるだけで“ヤバさ”が伝わる本に。その動画をXで投稿したことが売れるきっかけになりました」(金井さん)
読者層は小学校中学年を中心に、幼児からサブカル好き、散歩好きの大人までと幅広い。「普段はユーチューブばかり見ている子どもが2時間で一気読みした」「兄弟で取り合いに」などの感想が届いているそう。
