『キッチンに住みたい』(サトウユカ 著)

 6人の女性がそれぞれのキッチンで織りなす日常の小さな幸せを描いた本書。第12回料理レシピ本大賞コミック賞を受賞し、第2作も刊行する人気作に。

「絵を眺めているだけで幸せな気持ちになれるコミックエッセイを作りたいと思ったことが企画のきっかけです。どんな内容にするか編集部で会議した時に『人の家のキッチンを見るのは楽しいので、キッチンを舞台にした作品を』という案が出た。キッチンの絵を描いてもらうならばこの方しかいない、と著者に企画を提案したところ、お引き受けいただけました」(担当編集者の片野智子さん)

 キッチンには“女性が家族のために料理をする場所”というイメージもあるが、今作では自分や友人のためだったり、料理が苦手だったりする人の居場所にしてほしいと依頼。結果、食べるのも作るのも好きな「鶴子」、身体を整えることに熱心な「エリナ」、猫と暮らす「つつじ」、恋人との同棲生活を妄想する「そら」、子育てが終わり自分のための食事を作りはじめた「碧」、家を捨てバンで移動しながら暮らす「正香」という6人の魅力的なキャラクターが生まれた。年齢もバラバラ、それぞれが自立している女性たちで、6人はゆるくつながっていることが想像できる描き方だ。著者は打ち合わせ時、コミック内には描かれていない登場人物たちの裏設定も、詳細に決めていたという。

ADVERTISEMENT

「著者と相談しながら少しずつ形になっていくなかで、キッチンという場所はすごく人間性が出ることに気がつきました。キッチンを描きながらも、6人6様の人生を描いていただけたことで、読者の共感を得られたのではと思います。読者層は40代~60代の女性が中心ということもあり、とくに碧に自分を重ねる方が多い印象です」(片野さん)

 書店に並んだときに表紙のかわいらしさが目立つよう、イラストや帯のデザインにこだわった。その戦略が功を奏し、初速から書店での売り上げが伸びた。料理レシピ本大賞受賞がさらに後押しとなり、今年は第3作の刊行も予定している。

「この本に登場する6人のような暮らしに憧れる気持ちが読者の中にもあるのかな、と。私自身、本書を編集する過程で登場人物にならい、生活が整いました。そのような方が増えたらうれしいです」(片野さん)

2025年1月発売。初版6000部。現在7刷5万7000部(電子含む)

キッチンに住みたい (はちみつコミックエッセイ)

サトウユカ

オーバーラップ

2025年1月15日 発売