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「福留孝介 バットで交わす言葉」|鈴木忠平

嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか 第7回

鈴木 忠平

連載

エンタメ 社会 スポーツ

「ホームランは力じゃない」落合の打球は、福留には真似できない軌跡で飛んだ。

 

(すずきただひら 1977年千葉県生まれ。日刊スポーツ新聞社に入社後、中日、阪神を中心にプロ野球担当記者を16年経験。2019年よりフリー。著書に『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』、取材・構成担当書に『清原和博 告白』、『薬物依存症』がある。)

《そろそろだろう……》

 福留孝介は時計の針が午後4時をまわると、ロッカールームを抜け出した。チームメイトは食事を摂ったり、音楽を聴いたりしている。試合前の練習を終え、プレーボールまで束の間の休息だ。

 それを尻目に、福留はひとりベンチ裏の通路を抜け、ホームベース後方にあるブースへと向かう。そこはオーナーや球団幹部が観戦するための部屋だったが、この時間はまだ誰もいない。その真っ暗な部屋の中からグラウンドを見る。相手チームの練習にじっと見入る。2006年シーズンの福留は、広島戦の前に限って、その特別な行動を取った。

 

 福留の視線の先にいたのは前田智徳だった。球界において広く、天才として知られたバッターだ。

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source : 週刊文春 2020年10月1日号

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