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「森野将彦 奪うか、奪われるか」|鈴木忠平

嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか 第6回

鈴木 忠平
エンタメ 社会 スポーツ

「お前の代わりはいくらでもいる」落合の言葉に森野はプロとしての覚悟を固める。

 

(すずきただひら 1977年千葉県生まれ。日刊スポーツ新聞社に入社後、中日、阪神を中心にプロ野球担当記者を16年経験。2019年よりフリー。著書に『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』、取材・構成担当書に『清原和博 告白』、『薬物依存症』がある。)

 ナゴヤドームのベンチ脇には1本の薄暗い通路がある。球場スタッフや報道関係者が行き来する1階のコンコースと、照明に光るグラウンドを結ぶ、いわば日常と非日常をつなぐトンネルである。

 私はゲーム前になると、よくその通路に立っていた。プレーボール間際、選手がそこへ顔を出すからだ。ロッカーの外の空気を吸おうとする者、緊張感を和らげようとする者、あるいは独りになろうとする者……。その様子を見ていると、これから戦いにいく男たちの心の揺れを感じられるような気がしたのだ。

 2006年シーズンも中盤に差し掛かった7月2日、私がいつものように、その通路にいると突然、怒声が響いてきた。

「なんで、ひと言もないんだ!」

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source : 週刊文春 2020年9月24日号

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