「打つことでお前は立浪に勝てない。ただ……」。強打者・森野に落合は術を示す。
(すずきただひら 1977年千葉県生まれ。日刊スポーツ新聞社に入社後、中日、阪神を中心にプロ野球担当記者を16年経験。2019年よりフリー。著書に『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』、取材・構成担当書に『清原和博 告白』、『薬物依存症』がある。)
《まったく……ふざけんなよ》
酸素が欠乏していく頭の中で、森野将彦は毒づいた。
ゲーム開始までまだ4時間近くもある。投手も野手も肩慣らしをしている頃だというのに、自分だけがゼエゼエと息を切らし、汗を滴らせている。左右に放たれる白球を猟犬のように追いかけ、レフトとライトの間を何度も往復している。
2005年シーズンの森野にとって、このアメリカンノック――廊下に立たされるような意味合いもある、若い選手をしごくための体力強化練習――が日課になっていた。
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source : 週刊文春 2020年9月10日号