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「岡本真也 ブルペンの祈り」|鈴木忠平

嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか 第11回

鈴木 忠平
エンタメ 社会 スポーツ

「監督のミスで負けた」04年日本シリーズの落合の言葉は岡本の胸を突き刺した。

 

(すずきただひら 1977年千葉県生まれ。日刊スポーツ新聞社に入社後、中日、阪神を中心にプロ野球担当記者を16年経験。2019年よりフリー。著書に『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』、取材・構成担当書に『清原和博 告白』、『薬物依存症』がある。)

 2007年11月1日、日本シリーズ第5戦。53年ぶりの日本一に王手をかけた中日は1-0のリードを守ったまま、7回表を迎えていた。先発ピッチャー山井大介は、未だひとりのランナーも出していなかった。

《この試合にリリーフはいらない》

 

 岡本真也はブルペンの隅にあるベンチに腰を下ろした。リリーフ投手にとっての開店休業を意味する場所だ。ナゴヤドーム1塁側ベンチの裏、天井には整然と照明が灯り、3つずつあるマウンドとホームベースを照らしていた。スタンドの熱狂とは対照的に、リリーフたちの密室はイニングを追うごとに奇妙な静けさに包まれていった。

 岡本はベンチに腰かけたまま、壁のモニターを見上げた。画面の中には山井がいた。ゴーグルがトレードマークの右腕は、1番バッターから始まる日本ハム打線を圧倒していた。7回に入って、打球を外野に飛ばされるようになってはいたが、どれも力のない飛球だった。

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source : 週刊文春 2020年10月29日号

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