失敗しても何とか生きている。

 アニメデビュー作、初めてのレギュラー、声優としてど新人の頃。当時は舞台にも出演していて、大阪で公演があった。大阪出身の僕は実家に寝泊まりしていた。アフレコの日は朝一番の新幹線で東京に行って収録、終わり次第大阪に戻って夜公演の舞台に立つというスケジュール。携帯電話が普及しきっていない頃の話だ。

 アフレコ日の朝、「電話やで」という母親の声で目を覚ました。電話に出ると、マネージャーさんの声。

「津田君、今何処?」

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source : 週刊文春 2025年12月18日号