「腕を下げてみないか」小林は何かを落合と決めた森繁和からそう持ち掛けられた。
(すずきただひら 1977年千葉県生まれ。日刊スポーツ新聞社に入社後、中日、阪神を中心にプロ野球担当記者を16年経験。2019年よりフリー。著書に『清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実』、取材・構成担当書に『清原和博 告白』、『薬物依存症』がある。)

2010年、師走の迫った中日の球団事務所には、祝花が身を寄せ合い、入り口正面には恰幅の良い樽酒がどっかりと鎮座していた。
4年ぶりのリーグ優勝に華やぐ雰囲気の中、和田一浩は記者会見の壇上でフラッシュを浴びていた。
「想像していた以上の評価をしてもらいました」
ストライプのダークスーツにシックなネクタイを結んだ38歳の顔には、年俸4億円で新たに3年契約を結んだことへの喜色とともに、望外のものを手にしたことへのわずかな戸惑いが入り混じっていた。
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source : 週刊文春 2020年12月24日号