(ふじもとやすし/1961年生まれ。北海道標津町在住。NPO法人「南知床・ヒグマ情報センター」前理事長、現・主任研究員。自動車整備工場経営の傍ら、ヒグマ研究に取り組み、北海道大学大学院で非常勤講師も務める。NPO法人の障碍者施設理事長、標津町議会議員。)

 

「皆さんはクマを知っていますか?」――クマについて講演するときは、いつも最初にそう聞くんです。するとほぼ全員が「知ってる」と答えるんですが、「じゃあ、クマの何を知っていますか?」と問いを重ねると、みんな、首をかしげるんですよね(笑)。まずはクマという動物について知ってもらうこと――それが大事かなと思ってます。

 NPO法人「南知床・ヒグマ情報センター」主任研究員として、クマ関連のニュース解説や講演に引っ張りだこの藤本靖さんは、1961年9月、北海道東部の(しべ)()(ちょう)で生まれた。元バスの運転手だった父は、町内で自動車修理工場を営み、母は美容院に勤めていた。

 標津町は知床半島の付け根にあります。この辺の人たちは開拓時代に本州から来た人がほとんどで、ウチも曾祖父の代に石川県から移民してきました。

 僕にとって“最初の家”というのは、「親父の修理工場の事務所の2階」なんです。八畳ぐらいの二間で、洗面所と居間と寝室がすべて一緒になったような空間に両親と妹の家族4人で雑魚寝していました。

 2階には風呂もトイレもありませんでした。だから1階で飲み水や洗面用の水をアルマイトの洗面器に汲んで、2階まで急な階段をエッチラオッチラ持って上がるのが僕の仕事でした。

 隣に祖父母の家があって、ご飯はそっちで食べることが多かったです。建設会社を経営していた祖父の家は、人の出入りが多くいつも賑やかでした。

 両親とも夜遅くまで働いていたので、一緒に遊んでもらった記憶はあまりないんです。ただ4、5歳の頃は母と一緒に美容院に“出勤”していたので、髪をセットしにきた町内のスナックのママさんたちにはずいぶん可愛がられました。

 アイドルでしたね(笑)。

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source : 週刊文春 2026年5月28日号