SNSに拡散された「1日100本」ものネガキャン動画。それを可能にしたのは極秘チームの稼働、20台のスマホ、そしてAIによる自動化だった。大量投稿で民主主義をぶっ壊す、高市首相陣営によるネット工作の全貌。
【高市陣営が作成した中傷動画問題】
解散から16日後に投開票を迎える、戦後最短の衆院選が公示された今年1月27日。高市早苗首相の地元・奈良2区も、選挙戦初日は慌ただしかった。
首相本人は不在の事務所で、朝から選挙カー「ビーナス号」の出発式が開かれた。見送りを終えた午前11時半、進行を取り仕切ったばかりの木下剛志・高市事務所長(公設第一秘書)は業務を一旦切り上げて席につき、あるウェブ会議に参加した。
陣営の青いジャンパーを着たまま、Zoom画面に〈高市早苗〉の表示名で現れた木下秘書は、会議相手の男性に対して前のめりに切り出した。
「今回は中道改革連合の……」
この会議内容はすぐさま、遠く離れた“別動隊”へと伝わった。
大量のスマートフォンが並んだ部屋で、直後から昼夜にわたって始まったのが、中道改革連合の衆院議員候補者を狙い打ちにした“ネガキャン動画”の大量投稿作戦である。

◇
「週刊文春」が3号連続で報じてきたこの問題。昨年10月の自民党総裁選と今年2月投開票の衆院選において、高市陣営が、ライバル候補や野党を中傷する動画を大量に作成し、SNSで拡散していたものだ。
例えば総裁選期間中の動画では、小泉進次郎氏を〈カンペで炎上!無能で炎上!〉〈客寄せパンダ〉、林芳正氏も〈完全アウト!〉などと嘲弄した。さらに衆院選でも、中道の候補者を批判する動画を大量に流していたのだ(実際の動画は「週刊文春 電子版」で公開中)。


一連のネガキャンは木下秘書が中心となり、総裁選、衆院選ともに起業家の松井健氏に動画制作を依頼した。冒頭の衆院選初日のウェブ会議の相手が松井氏である。
松井氏は取材当時、「週刊文春」に動画作成の依頼を受けたことを説明した上で、「1日100本から200本の動画を作成して拡散した」と証言している。だが、さらに具体的な手法も明かしていたのだ。
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source : 週刊文春 2026年6月4日号
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