ずっと昔から兄や姉という存在に憧れていた。長女かつ初孫の私にとって、血を分けた兄弟姉妹というのは面倒を見るべき年下ばかり。譲るのも我慢するのも別に嫌なわけじゃないけど、私だって時にはわがままを言ってみたい。甘えたり頼ったりできる年上の存在を何度夢みたことか。背景はまったく想像できないが、急に生き別れの兄とか姉とか現れたりしないかな、なんて妄想してみたり。しかし、『勇者遺族』を読んでいると、突然現れる兄弟姉妹、そんないいものでもなさそうだ……。
魔王を倒し世界を救った勇者が死んだ。エルフの母と勇者の父の子であるジルは、これでたまりにたまった呑み屋のツケが返せると、遺産目当てに意気揚々と会ったこともない父の葬式に向かうが、そこには様々な種族の異母兄弟たちが。勇者の使い魔・ワタリにより、49日後に遺言書を持って再び教会に訪れた者に遺産を相続する、と告げられた子どもたちは、遺産の取り分を増やすべく互いの遺言書を奪い合う、バトルロワイアルな遺産相続戦を開始する。
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source : 週刊文春 2026年8月27日号






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