(やまがたゆみ/1959年、東京都生まれ。東京藝術大学音楽学部を経て1986年にファーストアルバムをリリースし、デビュー。11月23日、浜離宮朝日ホールにてデビュー40周年記念リサイタル「“彩”『ルネサンスから現代へ〜400年の調べを紡ぐ笛の旅〜』」を開催。チケット発売中。)

初めてフルートを手にしたのは中学2年生の時。自分の部屋で見様見真似で息を吹き込むと「ピーッ」と音が鳴って……。あの感動は今も鮮明に覚えています。
1986年のデビュー以来、情感豊かな音色で多くの人を魅了し続けるフルート奏者の山形由美さん。NHKのクイズ番組「連想ゲーム」の回答者としても人気者だった山形さんの感受性はどのように育まれたのか。
59年、東京で生まれた山形さんは生後1カ月で母親と共に、英文学者の父・山形和美氏が待つ福岡に向かった。
住まいは父が教員を務める西南学院大学の教員宿舎で、2階建てのタウンハウスの一角。おぼろげな記憶しかありませんが、お庭でブランコに乗る写真が残っています。3歳の時に父が東京の大学に赴任し世田谷区千歳台の賃貸住宅へ。縁側のある平屋で、居間とキッチン、お風呂、トイレの他に両親の寝室と子供部屋、そして父の書斎。我が家の家選びの基準は父の書斎です。職業柄、膨大な蔵書を収納できることが重要なんです。
翌年、弟が生まれ、この頃には音楽との出会いもありました。私の母は子供の頃から芸術に親しんでいましたが専業主婦として父のサポートに徹した人。その母の希望で東京音楽院の付属幼稚科に入園し、歌や音感教育の授業を通して音楽の感性を育みました。さらにピアノとヴァイオリンも習い始め、暮らしの中はいつも音楽で溢れていました。
そんな中、小学校入学を前に区内の千歳烏山の新築団地に引っ越すことに。環状八号線の整備に伴い家を立ち退くことになったんです。立ち退き料として補償金か住居を選べたようですが、当時としては最新の鉄筋コンクリート造の団地でしたから、父の蔵書の重みにも耐えうると考えたそう。間取りは3DKでアップライトピアノを買ってもらえたのが嬉しかったな。
初回登録は初月300円で
すべての記事が読み放題
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2026年9月17日号
お気に入り記事