泣かずにはいられない回になることは、予告の段階で予想していた。だが、そのハードルを大きく越えたのが『ファミリーヒストリー』の武井壮の回だ。この番組は家族の歴史を本人に代わって徹底取材し、そのルーツを探るドキュメンタリー。今回も江戸時代に生きた先祖が味噌奉行をしていたことを突き止める地道な取材力を見せつけ、「だから俺、味噌好きなのかな」と武井も漏らしていたが、この回に関しては、それが“本筋”ではなかった。「生き別れた母の行方」という副題の通り、9歳の頃に離れ離れになった母・京子の消息を辿ったのだ。
武井の子供の頃の家庭環境が過酷で、そこから抜け出すためにスポーツを始めたという話は、以前から度々語られていた。だが、今回は家族が“主役”。その背景をより詳しく知ることができた。家庭を顧みなかった父は離婚。「女に子どもなんか育てられるわけない」と子は自分で引き取ったものの、あまり家には帰ってこなかったという。武井はそれと知らされぬまま母と別れることになってしまった。印象的なのは、この番組中はもちろん、過去の番組等でもそんな親に対する恨み節を一切聞いたことがないことだ。
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source : 週刊文春 2026年10月22日号
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