税金が高い国に人材は集まらない|三木谷浩史

三木谷浩史「未来」 第22回

三木谷 浩史
ビジネス 社会 政治 経済 国際 企業

 11月8日、新経済連盟の代表理事として、新政権発足後初めて岸田文雄首相と面会した。「民でできることは民で」ということを改めて訴え、経済成長のためには新たな産業や企業を生み出すことができる環境が重要で、そのためには一層の規制改革を進めるようにお願いをさせていただいた。「未来」を見据えた大胆な改革の姿勢を期待している。

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 そこで今回、僕が主張したいのは、「イノベーション・プラットフォーム」としての国、という視点を持つことの重要性だ。すなわち、新しい技術から新しいサービスを作り出し、世界に通用するビジネスを展開する人々を増やす。国内外の優秀な人材にとって居心地が良く、力を発揮できる環境をとにかく作っていく――。

 そのために必要な条件は何か。具体的に挙げると、(1)税金を下げる、(2)言葉の壁を無くす、(3)規制を緩和する、という3つの方向性が不可欠だと僕は考えている。

 けれど、それら一つ一つの現状を見ていると、どれも多くの課題を抱えていると言わざるを得ない。

 一つ目の「税金」についてはどうだろうか。

 そもそも日本の税金は高すぎる。住民税を含む最高所得税率は55%、相続税の最高税率は55%。つまり、稼いだお金の45%分しか手元に残らず、死亡して相続の際に55%分を収めるとすると、単純計算では手元に残るのは45%分の45%で20・25%分となり、実に最高税率が約80%(≒100%-20・25%)になることと等しい。

 さらに、グローバルな人材を集める上で僕が問題だと感じているのが、Exit Tax(国外転出時課税制度)というもの。Exit Taxとは、国外に転出をする際に1億円以上の有価証券等を所有している場合、それらの譲渡等があったものとみなして含み益に所得税が課税されるという制度だ。

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source : 週刊文春 2021年12月2日号

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