人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
ふだん行きつけない、ハードボイルド小説に出てきそうなバーに入った。
既にそこは2軒目で、友人と勢いで扉を開けてしまったというのが正直なところだ。
薄暗い店内はそれらしいムーディなジャズが流れてた。カウンター席以外にも2、3のテーブルが並んでいて、僕らは気兼ねもあってそちらに腰掛けた。
と、いうのは、カウンター席の隅にこれまたハードボイルドな服装を決めた老人がぽつんと座っていたからである。
往年の映画俳優、ハンフリー・ボガートを踏襲されているのだろうか。客は僕らとそのボガートだけだった。
1軒目との落差が余りにも激しくて、しばらく落ち着かなかったが、友人が一度飲んでみたかったというシングルモルトって酒を注文し、僕もそれに従った。
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source : 週刊文春 2021年12月16日号