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池上彰×小林武彦 死と老化のメカニズムに迫る

池上彰のそこからですか!?新春スペシャル対談

「週刊文春」編集部
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 新たな死生観を示した『生物はなぜ死ぬのか』がベストセラーとなっている小林武彦教授。その研究によって理想的な死のモデルが見えてきた。すべての生物の起源から、コロナや、人類の将来まで池上彰と語り尽くす。

 

小林武彦/こばやしたけひこ 1963年生まれ。九州大学大学院医学系研究科修了。専門は、分子遺伝学、ゲノム再生学、分子生物学。東京大学定量生命科学研究所教授。生物科学学会連合代表。著書に『DNAの98%は謎』など。

 

池上彰/いけがみあきら 1950年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。ジャーナリスト。東京大学定量生命科学研究所客員教授。著書に『「独裁者」の時代を生き抜く27のヒント』など。

池上 小林先生の『生物はなぜ死ぬのか』は10万部を超えたそうですね。超高齢社会で終活を考える人も多いし、コロナ禍で死を身近に意識する人が増えました。手に取りたくなる本です。

 

小林 なぜ死ぬのかという謎を解くカギは、まず「進化が生物を作った」ことを理解することが必要です。人類はポッと現れたわけではなくて、わずか600万年ぐらい前、世代で言うと30万世代ほど遡ったら、ゴリラやチンパンジーと同じ祖先です。さらにそのまま38億年前まで遡ると、地球上のすべての生物が、同じひとつの細胞にたどり着きます。私たちの人生の長さでは、なかなか感覚的に捉えにくい話ですけど。

 

池上 最初に誕生したひとつの細胞から、子孫が様々に進化して、こんなに多様な生物が存在しているわけですね。

小林 進化というのは、変化と選択のプログラムです。「変化」とは遺伝子の変異で、この生物はなぜこんな形になったのか、なぜこんな性質をもっているのか、すべての原因がここにあります。一方、「選択」とは死です。たまたまその時の環境に適応して効率的に増えられた種だけが生き残り、そうでないものは死に絶える。常に生命が入れ替わる「ターンオーバー」によって、多様性が形成されることが進化なのです。

池上 現在から振り返ると「人間は見事な進化を遂げてきたんだな」と思えますけど、実は偶然と奇跡が積み重なった結果なんですね。

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source : 週刊文春 2021年12月30日・2022年1月6日号

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