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お金で「心の豊かさ」は買えるのか|宇垣美里

宇垣総裁のマンガ党宣言! 第66回

宇垣 美里
エンタメ 芸能 読書

「こんな世界に産んで、本当に幸せにしてあげられるのかな?」妊娠中の友人がポロリとこぼした言葉が、ずっと頭から離れない。好景気と言われながらも決して上がらない給料、2年経ってもマスクの手放せない日々、私たちはもうずいぶん前からいろんなものを諦めながら生きている。私たちは、いい。なんとかしのいで生きていく。でも子どもたちは? 老人ばかりがどんどん増えるこの国で背負わされるものの重さは、きっと想像を超えている。『フールナイト』に描かれている閉塞感溢れる世界はディストピアのはずなのに、そんなこの世という名の地獄とさして変わらないのがやるせない。

 分厚い雲が日の光を遮り、冬と夜が続くことで植物は枯れ、酸素が枯渇した遥か未来の地球。人類は死期の近い人間を「霊花」と呼ばれる植物に変える「転花」技術を開発し、わずかな酸素を作り出して生き延びていた。転花した人間には支援金として1000万円が支払われるものの、約2年後には物言わぬ完全な植物となってしまう。精神病を患う母を抱えつつ最低賃金以下で働く神谷トーシローは、貧困から抜け出すために転花を決意するが、手術後、霊花の声が聞こえるように。彼はその能力をきっかけに役所で人探しの職員として雇われ、様々な人間や霊花と関わっていくことになる。

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source : 週刊文春 2022年2月17日号

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