週刊文春 電子版

出来レースか、ガチか

「笑い神 M-1、その純情と狂気」第15回——非関西弁コンビや弱小事務所コンビ。皆、M-1審査を疑っていた。

中村 計
エンタメ 芸能

 完璧なはず、だった。

「相手の出方みたいなのも、だいたいわかっていた。笑い飯とか千鳥も、そんなにいいネタができてる感じじゃなかったんですよ。で、これは狙えるな、みたいになっていて」

 2007年のM-1戦線――。ラストイヤー組のトータルテンボスの大村朋宏は、そう手ごたえを感じていた。大村は同コンビのボケであり、船頭役でもあった。

 M-1は出場回数を重ねれば重ねるほど周囲の期待は高まり、同時に越えなければならないハードルは高さを増す。この年、03年から4年連続決勝進出中だった麒麟は準決勝で敗退。6年連続で決勝に残った笑い飯、2大会ぶり四度目の決勝進出を決めた千鳥も、予選で強烈なインパクトを残しているわけではなかった。

 あとは、出番順だった。

 過去6年のデータを取ると、適度に会場があたたまってくる4〜6番手あたりの組が、もっとも上位3組に食い込む確率が高い。大村の相方で、アフロヘアがトレードマークの藤田憲右が思い出す。

「順番は5、6番をねらっていた。そうしたら抽選で大村が5番を引いたんですよ。よし、来た、と」

初月300円でこの続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題

プランを選択してください
月額プラン
2,200円/月
初回登録は初月300円、1ヶ月更新
年額プラン
1,833円/月
22,000円一括払い、1年更新
電子版+雑誌プラン
2,458円/月
29,500円一括払い、1年更新

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 音声・動画番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 週刊文春 2022年3月3日号

文春リークス
閉じる