もう一度、花を咲かせようプロジェクト――。
関西テレビの東野和全(かずひろ)は、そう呼んだ。
笑い飯は2020年に結成20周年を迎えた。そのタイミングで、哲夫の奈良高校時代の同級生でもある東野や、担当マネージャーの大谷智郎ら一部の人間は、笑い飯を文字通り改めて大々的に売り出そうと熱心に動いていた。東野が言う。
「彼らは、しゃべりが中心。漫才をやってるときがいちばんキラキラしている。その軸をぶれさせない範囲で、世の中に少しだけ合わせていく。そうすれば売れるチャンスはまだいくらでもあると思うんですよね」
昨年開催した4年振りの全国ツアー『笑い飯の漫才天国〜結成20+1周年記念ツアー』も、その一環だった。本来は2020年に行う予定だったが、新型コロナ感染拡大の状況を鑑みて1年後ろ倒しとなった。
笑い飯の現状に対し、関係者の間には、こんなジレンマがある。哲夫を師と仰ぐとろサーモンの久保田かずのぶが話す。
「昔ね、哲夫さんとか、よう言ってたんです。芸人がグルメロケに行ったり、情報番組でアイドルとからんだりするのを見て『おもんないよな』って。でも、それができてたら笑い飯は変わっていたかも。おもろいことなんて言わなくてもいい。普通に求められることだけを返せてたら。そんな二人を見たくないという思いもある。でも、それを見せないと、おもろくても売れないわけでしょ? だったら、見せないといけないわけじゃないですか。漫才師の世界だけは、おもろいやつが売れることこそが正義だって笑い飯に教わったんですから。俺はそれだけを信じて、ここまで来たんですから」
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source : 週刊文春 2022年4月21日号