“間”を味わった二人

「笑い神 M-1、その純情と狂気」第19回——笑いの世界観が違うコンビが生み出した漫才は、常識を外れていた。

中村 計
エンタメ 芸能

「何でだよ!」

 スリムクラブのツッコミを担う内間(うちま)政成は、やや切れ気味にツッコんだ。ステージ上、コントの最中のことだ。内間のツッコミで、せっかくボケで起きた笑いがすっと引く。そんなことが何度か繰り返された。

スリムクラブの真栄田賢(左)、内間政成(写真 産経新聞)

 負のループに業を煮やしたボケ役の真栄田(まえだ)賢は、左側にいた内間の肩を右手で強くつかんだ。身長183センチでいかにも屈強そうな真栄田の声は喉を潰したミュージシャンのように嗄れている。

「もういい! ツッコまなくていい! 何もしなくていいから」

 内間も身長180センチと長身だが、真栄田とは対照的にいかにも頼りなげで、ひょろりとしている。

 ただし、そこでコントが終わるわけではない。ツッコミを禁じられた内間は、意味不明な言葉を発し執拗に絡んでくるキャラクターを演じる真栄田に対し、オロオロするばかりだった。客席から失笑が漏れる。

 何もするなと言われても舞台に立っている以上、そうはいかない。用意してきた言葉はすべて「ツッコミ」に相当する。突然のツッコミ禁止令に、何も言葉が浮かんでこない。追い込まれた内間は、真栄田のボケに対し、反射的に返した。

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source : 週刊文春 2022年3月31日号

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