〈とにかくおもしろい漫才〉とは

「笑い神 M-1、その純情と狂気」第18回——どうしたらM-1決勝に進めるのか。実力派コンビは途方に暮れた。

中村 計
エンタメ 芸能

「100点はつけるなよ」

 出番をあとに控えた芸人の本音だった。パンクブーブーの佐藤哲夫が回想する。

「それ以上のネタをやっても、その上(の点数)はもうないじゃん、って思っちゃったんで。せめて99点にしといて欲しいという気持ちはありましたね」

 2009年12月20日。第9回のM-1決勝は、笑い飯のための大会といってよかった。前人未到の8年連続出場中。準決勝では『鳥人(とりじん)』という、見たことも聞いたこともないような斬新なネタで大爆笑をさらっていた。大会委員長の島田紳助は当時、笑い飯が毎大会のように優勝候補に挙げられながらも優勝を逃し続けてきた理由を「二人のすごさに周りが慣れてしまった」と語っていたものだが、その「慣れ」をぬぐうのに十分なネタだった。

 佐藤の相方、黒瀬純は「2009(年)は、2番手争いの大会だった」と振り返る。

「M-1グランプリという大会自体が笑い飯の優勝を欲しているような、すごい空気感があったんです。だから、僕らも、今年は2位か3位に入れたらいいな、って。この年は、大本命・笑い飯に食い込めるコンビはどこかみたいな雰囲気でしたね」

 そんな大会の流れを決定付けたのが、5番手で登場した笑い飯に対する紳助の点数だった。

2カ月99円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題

2024GW 特大キャンペーン 誰でも月額プラン最初の2ヶ月99円 4/24(水)〜5/7(火)10:00
  • 月額プラン

    99円/最初の2カ月

    3カ月目から通常価格2,200円

    期間限定

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2022年3月24日号

無料ニュースレター登録はこちら

今すぐ登録する≫

期間限定キャンペーン中!月額プラン2カ月99円

今すぐ登録する≫