2月24日にロシアによるウクライナへの侵攻が始まって1カ月余りが経つが、ずっと気分の沈む日々が続いている。

 以前もこの連載で書いた通り、楽天グループにはウクライナにも社員が約130人いる。日本政府も限られた条件の中で、彼らを難民として受け入れる決定を下してくれた。楽天グループの社員の家族が日本に来ることができるように、人事部の確保した宿泊施設に滞在してもらう準備をしている。

 ただ、女性や子どもは国外に退避している人もいるけれど、ウクライナ政府の方針もあって男性は基本的に国内に留まる他ないようだ。会社からも社員の安否確認は常に行っているが、彼らや、ウクライナにいる僕の友人からは「いま、地下壕にいて怖くて仕方がない」といったメッセージが次々と届いている。なかには義勇軍に参加している人もいるらしい。そうしたメッセージを見ると、とにかく胸が痛んでくる。

 そして「怖い」という彼らの叫びに触れると、どんな言葉をかけていいのか分からない。まだまだ平和な日本から「Stay strong」と励ますのも違うし、「早く戦争が終わることを願っている」としか言いようがないのだ。

 日常生活を奪われたのは、ウクライナの人々だけではない。ロシアにいる友人からも、悲壮感のあるメッセージが届く。

「これでどこに行っても私たちは世界の嫌われ者になってしまった」

 若者の中にはロシアから出国したい人も多いようだけれど、彼らは他の国から拒まれていて、ほとんどは国外には脱出できないようだ。

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source : 週刊文春 2022年4月7日号