(さいきしげる 俳優・タレント。1949年、静岡県生まれ。劇団・表現劇場を経て、79年、コントユニット・シティボーイズを結成。俳優、タレントとして活躍。映画『遥かなる甲子園』『人間交差点』『3月のライオン』、テレビドラマ『101回目のプロポーズ』『犬神家の一族』『龍馬伝』『エール』など出演作多数。)
今年の4月からレギュラー放送が始まったラジオ『SAYONARAシティボーイズ』、太田光や宮藤官九郎がリスナーなんですって。評判がいいのは嬉しいなあ。大竹はツッコミで忙しいし、きたろうは面白いこと言おうと鵜の目鷹の目。僕が一番、3人の中でリラックスして楽しんでるんじゃないかな? つくづく、この歳まで芝居や笑いで生きていけてるなんて幸せ者ですよ、ホントにねえ。
東京03など多くのコント師、演劇人にリスペクトされている伝説のコントユニット・シティボーイズ。大竹まこと、きたろうとトリオを組む斉木しげる(本名:斎藤滋樹)さんは1949年、静岡県袋井市今井で5人きょうだいの末っ子として生まれた。
親父が警察官で駐在勤務だったから転居が多くてね、生家の記憶はないんです。父方は社をもたない神主の家柄で、13人きょうだいの次男。若い頃に丁稚奉公に出され、後に警官になった。お袋は同じ浜松の近隣の村同士で見合いで結婚したそうです。
父の村に行った記憶があるんだけど、その時は祖父さんの葬式でね。村の名主だったから2000人は参列する中、遺影を持って行列の先頭を歩かされたの。その夜に熱出して寝込んじゃったんだけど、変な巫女さんが「私が治す」なんて現れて額に手を当ててくれたけど、全然効きゃしなかった(笑)。同じ村でも母方の村が居心地が良くて、何より畑で採れるメロンが美味かった! 千疋屋に桐箱入りで売られる高級品を伯父さんが作ってて、二等品を食べさせてくれるんだけど、今までその味を超えるメロンに出会ったことはありませんよ。
家の記憶は4歳くらいから。磐田市袖浦へ引っ越した翌日、消防団の物見櫓からサイレンが大音量で鳴ったんです。正午の時報だったんだけど、驚いて家の中でお袋を探し回ってね。冬の日で毛糸の靴下を履いてたもんだから、廊下で滑って大泣きした。姉が3人、2歳上に兄がいて、長女とは14歳離れてた。だから甘えん坊だったのかな。
5歳くらいから漫画に触れましたね。『冒険王』『少年画報』に夢中で、『赤胴鈴之助』でヒットした武内つなよしの初期作は未だに憶えてます。現在も漫画を愛読してる、僕の文化的ルーツです。
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source : 週刊文春 2023年11月23日号