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人のことを最初に「人間」と呼んだ人は、一体なぜ「人」に「間(あいだ)」をくっつけたのだろうと、ずっと疑問に思っていた。
オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーは、人間の悩みは全て対人関係の悩みである、といっている。人は一人で生きているのではなく、〈人の間〉に生きている。個人はただ社会的な(対人関係的な)文脈においてだけ個人となるのだと。
このことでようやくわかった。この世の全ては「関係性」によって成り立っていることと同じことで、間というのは何もない真空のことを指すのではなく、対人によって立ち昇る自分の姿のことなのだろう。
『アドラー心理学入門』(岸見一郎 ベスト新書 900円+税)を読んで感動したことを凝縮すると主に3つ。ひとつは「対等の横の関係」について。
アドラー心理学では、「縦の人間関係」は精神的な健康を損なう最大の要因と考え、人と人が対等の「横の対人関係」を築くことを提唱している。
「皆それぞれの出発点、目標を持って前に進んで行くのだ、そこには優劣はなく、ただ先に行く人と後を行く人がいるだけで、しかしその皆が協力して全体として進化していく」という。
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source : 週刊文春 2023年11月30日号