【前回までのあらすじ】元写真週刊誌デスクの山岡は、二枚の写真を取り出した。一枚目には、美月が母とその情夫の頼みに負けてヤクザの新年会で歌っている場面が写っていた。もう一枚には、この新年会に出席している二人の大物俳優――美月がヨリを戻した俳優の三浦誠が所属する事務所の社長でドンと呼ばれる人物と、古い付き合いのある二人の男が写っていた。

 

「この二人がドンに美月さんのことを話したんでしょうか?」

「恐らく。それで写真を探したんだと思います。目の前に奥田美月がいれば、誰かが絶対撮ってるはずですから」

「その情報提供者は、二人の俳優のことを伏せて、美月さんのことだけを山岡さんに話したってことですね」

「私もナメられたもんです。もちろん、編集長にはボツにする旨を伝えました。最初は載せない方向で進んでたんですが、途中から他部署に圧力が掛かり始めたんです。ドンの事務所とその系列に所属するアイドルの写真集やグッズ販売は当時、確実な収入源でした。そこを狙われたのです」

 ドンが美月排除に執着したのは、一面ではドル箱だった三浦誠のブランドを守るためだったのだろう。しかし「自分の顔に泥を塗った小娘」に対する制裁の意味合いの方が強かったのではないかと、奏は推察した。

 メンツという名のマチズモが他者への威圧となり、ドンはビッグネームの奥田美月を排することで自らの威勢を見せつけることができる。無論、そこには「万雷」の脆弱さを視野に入れた力学もあったに違いない。

初回登録は初月300円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題
コメント機能も使えます

週刊文春電子版に超おトクな3年プラン59,400円が登場!月額プラン36ヵ月分と比べて19,800円、年額プラン3年分と比べて6,600円おトク!期間限定12月2日(月)まで!

キャンペーン終了まで

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

  • 3年プラン

    59,400円一括払い、3年更新

    1,650円/月

    オススメ!期間限定

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2024年6月6日号