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絶対に二人では歩かないし、SNSは登録すらしていない

「最初のうちの食事は、もちろん彼のおごりだったよ。それは単に、会社を一緒に立ち上げようとする仲間として奢ってもらってて、たまたまその時には彼の方が収入があって、年上で、男だったからだと思う。でも、彼との関係を、このままでいいからとにかく、継続可能にしたいなと思った時に、まずはお金、それから時間とか、もちろん気持ちとか家族愛とか、奪わないように気をつけようと思った。そもそも、不倫がバレるのって、金遣いが荒くなったり、よくわからない領収書とかカード請求が見つかったり、が多いと思う。それで不倫そのもの自体よりも、自宅に入れるべきお金を他の女なんかに貢いだっていうことでゲキる奥さんが多いじゃない」

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 彼女は、奪わないことを免罪符に、不倫を社会的に了解してもらおうという気はさらさらない。全く同じ時間にオフィスを出られる時も、絶対に二人では歩かないし、SNSは1つも登録すらしていない。彼の服に猫の毛がつかないよう、猫の部屋と二人で過ごす部屋を分け、それでも飽き足らず、床やソファ、帰る前の彼の衣類などは念入りにコロコロテープで掃除する。憎まれたり、怒られたりするのが怖い気持ちも当然ある。ただそれ以上に、仕事でもプライベートでも、彼女の人生を大きく左右し、また現時点で人生の大半を占める彼との不倫関係が、不本意な終わりを迎えることが最も怖い。

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「正直、奥さんとはもう20年近く一緒にいて、子供も大きくて、奥さんは仕事復帰してて、私ほど神経質にならないでも不倫なんて簡単にできる立場だと思う。サラリーマン時代と違って、社長なら、時間が不規則で泊まりとか出張とか休日出勤なんて簡単にコントロールできるし、もう一人のうちの会社のボスは、奥さん合意のもと、会社の近くにワンルーム借りてるし。ま、彼は自宅が千葉だからっていうのもあるけど。でも、万が一何かの拍子に関係が明るみに出たら、すでにセックスレスで夫より仕事と子供、と思ってた奥さんだって、絶対に怒る。その時について、私、考えたの」