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「これまで気軽に監督を批判してごめんなさい!」

 朝から晩までパソコンを開いて練習やミーティングの準備をし、時間を見つけて対戦相手の分析をする。自由時間はゼロに近い。そういった基本作業をしたうえで、さらに選手たちをやる気にさせなければならない。

  知人からカンボジア代表の仕事の感想を聞かれるたびに、こう答えている。

「これまで気軽に監督を批判してごめんなさい!」

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  もちろん半分冗談で、記者が俯瞰した視点で批評・批判することに大きな意味があると現在も感じているが、それ以上に監督の仕事の大変さをカンボジアで目の当たりにしている。

カンボジアサッカー協会からの給料はゼロだが……

  ちなみに本田監督と同じく筆者もこの仕事はボランティアで、カンボジアサッカー協会からの給料はない。スズキカップでは選手だけでなくスタッフにも勝利ボーナスがあり、ラオス戦の勝利によって全スタッフに1000ドル(約11万3千円)ずつ支給されることになった。だが本田監督のスタンスは一貫している。本田監督の呼びかけで、日本人スタッフの分は全額カンボジアの子供たちに寄付することになった。

  それでも筆者はこの役割を、“無報酬”とは感じていない。本田圭佑という世界レベルのクレイジーパーソンを特等席から“取材”できるからだ。

  たとえば、試合当日のロッカールームは、特別な場所のひとつである。初勝利をあげたラオス戦、2対0でリードして迎えたハーフタイムに、本田はこう選手たちに指示した。

フェリックスヘッドコーチ(中央)とカンボジア代表の選手たち ©FFC

「ボールをつないで回せているのは悪くないけど、できるならこういう相手に3対0、4対0、5対0で勝つ姿勢を見たい。何回も言っているけど今日の勝ちが大事なんじゃない。チームとして個人として成長していくことが大事なんだ。

 2対0やからといって、今までやってきたことをやめるんじゃなくて、0対0のときと同じように『もっと成功したい』、『もっとうまくなりたい』、『チームとしてもっとよくなりたい』ということを続けよう。いつも言っているけど、魔法はないよ。毎日ちゃんと続けることが大事だ。

 もっとハングリーな姿勢を見せてくれ。俺も見たいし、ファンもそれを見たい。チャレンジしよう! エンジョイしよう!」