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夜遊びした選手を見放さない本田流マネジメント

  マネジメントのダイナミズムを、間近で見ることもできる。

  夜遊びした選手2人の処分をどうするか、メルボルンにいる本田に問い合わせたときのことだ。スズキカップ開幕直前ということを考慮し、個人的にはメンバーから外すべきだと考えていた。

  だが、本田の考えは違った。

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「きっと2人は、何度も同じ過ちを繰り返してきたんだと思うんですね。人間ってそんなにすぐに変わらない。すぐに変わると思ったらダメです。子供に接するような気持ちで、辛抱強く、長期的な視点に立って教育していかないと。だから2人の処分は、選手たちに話し合って決めさせましょう。究極の民主主義です」

 結局、選手たちの話し合いにより、「遅刻したら1曲歌う」、「ミーティングを無断欠席したら用具係を1週間手伝う」、「夜に無断外出したら1週間全員のスパイク磨き」といったペナルティが決まった。

カンボジア代表の選手たち。スズキカップの期間中、著者(左端)も2カ月間プノンペンに滞在した ©FFC

契約は2年、カンボジアサッカーはどう変わるか

  この2人はスズキカップのメンバーに入り、1人は2点を決め、もう1人は1点を決めた。もしメンバー外にしていたら、ラオス戦の初勝利はなかったかもしれない。

「無断で飲みにいくくらいの選手の方が大一番で活躍するんです。そういう選手をうまく導いてこその監督です」

 スズキカップは1勝3敗という結果に終わり、カンボジアはグループステージで敗退した。それでも本田は「選手たちは確実にうまくなっている」と感じており、「相手が嫌になるくらいパスをつなぐサッカーを創り上げる」という信念はまったく揺らいでいない。

 本田とカンボジアサッカー協会の契約は2年。選手たちがどう変わっていくのか、カンボジアにどんなサッカーが生まれるのか、スタッフのひとりとして、記者のひとりとして、楽しみである。