鎌倉には実はそば屋が多い。「一茶庵」は閉店してしまったが、大正時代から営業している「峰本」は今も健在である。かつては鶴ヶ岡八幡宮の門前蕎麦としての需要があった。近年は、緑が多く自然豊かな景観から、少し離れた郊外にそば屋を開業したいという人が増えているそうだ。年配の観光客にとっても、量的にもそばがちょうどよいのだろう。

 そこで、平成最後の師走の晴れた週末に、鎌倉の裏駅の御成通りから和田塚あたりを徘徊してみた。インバウンド効果もあってか、駅は外国からの観光客で混雑していた。そして街並みのあまりの変貌ぶりに驚いた。

鎌倉駅の裏駅側。インバウンド効果で週末はいつも混雑する

駅から徒歩8分の山形そば「ふくや六地蔵」

 下馬の江ノ電踏切に出て六地蔵の方に歩いて行くと、駅から7、8分のところにあるのが、地元民にも人気の山形そばの店「ふくや六地蔵」である。ちょうど昼の部の営業が始まったところだったので、早速、入ってみることにした。

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「ふくや六地蔵」はHostel YUIGAHAMAとのコラボでオープンした。店にはすでに数組が入店して、昼酒・昼ビールをやっている。お店の2階がHostelになっているようで、宿泊客の利用も多いという。

「ふくや六地蔵」はお洒落な外観
Hostel YUIGAHAMAの一階部分で営業している

メニューは「肉そば」「鳥中華」「だしごはん」……

 昼のメニューは、まず「肉そば」(850円)で、つゆも麺も冷たい「つったい肉そば」と「あっつい肉そば」を選ぶことができる。「鳥中華」(850円)も「つったい鳥中華」と「あっつい鳥中華」を選ぶことができる。あとはだしを載せた「山形のだしそば」(900円)。サイドメニューはだしがごはんに載った「山形のだしごはん」(500円)と親鶏を使った「ネギチャーシュウごはん」(500円)。山形蕎麦の店のメニューはシンプルでよい。

 悩んだ挙句「つったい肉そば」を注文した。すると店主の宮本さんが黒っぽい生そばを大きな鍋に放り込んだ。麺は天童から取り寄せているそうで、出身も天童市だという。まさに本格的な山形そばということで期待が膨らむ。

昼のメニューはシンプル