●子供のやる気を潰すNGワード(2)
「こんな点数じゃ○○中学は無理」
テストの結果が志望校にはほど遠い場合、つい言いたくなってしまう気持ちはわからなくもない。でも、これは本人がいちばんよくわかっており、本人だって傷ついているはず。そこにさらに塩を塗るようなことは避けなければならない。
思わずこのセリフが口を突いて出てきてしまうときというのは、おそらく、テストを受ける前にダラけていたり、サボっていたりという伏線があってのこと。テストの結果というよりも、テストの前の態度を戒めたいがために言っている場合も多いだろう。
しかし、親の「無理」という言葉は、子供にとっては強力な呪文となる。「僕はもう無理なんだ」と自己暗示をかけてしまいかねない。
こんなときは、一度怒りや焦りを鎮めてから、「この結果についてどう思う?」「どうしてこういう結果になったと思う?」と、本人の意識をたしかめるような会話を心がけよう。
本人が自ら考えて気付き改めようとする前に親が「こうしなさい」「ああしなさい」と指図することは、本人から気付きのチャンスを奪うこと。それではいつまでたっても毎回親が指図しないとやらない子に育てているようなものだ。
●子供のやる気を潰すNGワード(3)
「そんな気持ちでやるくらいなら、中学受験なんてやめてしまいなさい」
子を思うあまり、親はときに、心にもないことを言ってしまう。これなんて、その典型。もしここで、「わかった。やめる」と子供が言ったら、きっとほとんどの親は、動揺を隠しながら、なんとか「やっぱりやる」と言わせる方向に誘導しようとするはずだ。言ってから後悔するような言葉を言うべきではない。
このような言葉が口を突くときというのは、おそらく、ふがいない子供の状況を見ているストレスに、親自身がたまりかねてしまっているときだろう。つまり、対処としては、子供を変えるよりも、自分を変えるほうが早い。
子供の中学受験のことばかりを考えるのではなく、たまには気分転換の時間をもつのもいいだろう。テストの点数には表れていないかもしれないが、子供が子供なりにがんばっていたシーンを意識的に思い出してみるのもいいだろう。
自分が12歳の子供になったつもりで
最初はなんとなく言われた勉強をこなすだけだった“仮の中学受験生”が、自分の目標のために自らを律して勉強する“本物の中学受験生”に進化するのは、子供によってタイミングが違う。当然そのタイミングが早いほうが好ましいわけだが、かといって、親が外からプレッシャーをかけたところで、本人の内心が前向きにならない限り、何も変わらないどころか、むしろ本人の意志で変わるチャンスを摘み取ってしまうかもしれない。
「馬を水場に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」のだ。
長い中学受験生活のなかでは、いろいろな状況で、ハラハラ、ドキドキ、オロオロを経験することだろう。そんなときこそ一度冷静になって、自分が10~12歳の子供になったつもりで、どんな言葉をかけられたらやる気が出るか、どんな言葉を言われると悲しいか、よく考えてからことばを発するようにしてほしい。
そのひと手間が、中学受験期間中の家庭の雰囲気を大きく左右する。