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「日本語でしゃべれ」頑迷老人VS外国人店員の終わりなき戦い

外国人の店員さんを「下に見る」風潮ってなんなんだろう

2018/12/27
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その「若いから安く使う」ってのがおかしい

 日本も決して天国ではないし、うっかり外国人が働きに来ると居丈高な老人に「ちゃんとした日本語で応対しろ」とか平気でどやされる現状がある以上は、まあなかなか一気に物事が改善に向かうとは考えづらいです。

 何より、これから景気も悪くなりそうで、雇用も賃金もそう好転は期待できないなかで、外国人だけが増えていく可能性があるとなると、今度は「外国人移民が日本人の仕事を奪っている」みたいな本末転倒な議論も出てくるかもしれません。しょうがないじゃん、いまの高齢者が若者や現役世代を安くこき使うことしか考えてこなかったのだから、経済事情で結婚もできない、子供も増やせない家庭が増えた結果として日本人が減って、コンビニ回すのに外国人にきてもらうしか方法がなくなっちゃったんだからさ。

 酷い言い方をすれば、「日本人は若者が足りなくなったから、安く働いてくれる外国人にきてもらって穴を埋めよう」という話じゃないですか。まず、その「若いから安く使う」ってのがおかしいっていう世の中にしなきゃいけませんよねえ。

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©iStock.com

本当に子育てを日本でやっていていいのかって

 さらに、いまは外国人に来てもらえる状況だからいいですが、そのうち私たちの子供の世代や、孫の世代が「日本では暮らしていけない」ということで、他の国に働きに出なければならない状況になるかもしれないって、あんまり指摘されないんですよね。日本企業が不振で、日本の大学もきちんとした研究開発をできず、日本の競争力が低迷したら、海外で雇ってもらえそうなイケてる学生から順番に、海外でより良い賃金をもらって働くことを厭わない社会になっていくかもしれない、ってことは、やっぱどこかで最初に考えておくべきなんじゃないかと思うんですけど。

 フランスみたいに全土で抗議活動が頻発していろんなものが燃えちゃう社会は厳しいけど、日本の景気低迷が賃金下落や雇用情勢悪化を引き起こす前にいろんな議論をしておかないと、取り返しのつかないことになるんじゃないかと危惧しています。このまま、本当に子育てを日本でやっていていいのかって私ですら悩むほどの状況ではあるので。

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