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「日本語でしゃべれ」頑迷老人VS外国人店員の終わりなき戦い

外国人の店員さんを「下に見る」風潮ってなんなんだろう

2018/12/27

外国人労働者をいかに自国に定住させないかという仕組み

 外国人には最低賃金も払わずに働かせているのだとか、外国人を日本で働かせる現地ブローカーが悪辣だとか、外国人に対する日本人事業者のパワハラが酷いとか、そういう話はたくさん耳にします。いろいろお話を伺っているNPOの人たちも、外国人の扱いが悪い事業者についてはかなり深刻なやり取りを繰り返しながら処遇改善のために戦っているそうで、それはぜひ頑張ってほしいと思います。

 一方で、シンガポールやドバイなどの外国人就業環境で言えば、日本ほどパワハラだブラックだという話ではありませんが、現地で妊娠してはいけないとか、一定期間が過ぎたら必ず帰国しなければならないとか、外国人労働者をいかに自国に定住させないかという仕組みをきっちりと作っているところが多くあります。

都市国家シンガポールには、多くの外国人労働者が集まる ©iStock.com

「もう少し旨いもの食べてよ」と言いたくなる

 あまり長い期間ではありませんでしたが、ベトナムやフィリピン、シンガポールで数週間ステイしていたころは、お手伝いさんを雇う金額の低さゆえに王侯貴族のような生活ができたりもして、楽だしこれはこれでいいかなと思ったりします。

 その一方で、これらの「親や兄弟、家族を食べさせるために自分が働きに出なければならない」のが当たり前と思っているお手伝いさんの身の上話や、「親や娘を置いて3年以上も夫婦で国境をまたいで働いて仕送りをしているけど、この仕送りがなければ貧しくて娘を売らなければならなくなりそうだ」という極貧話を聞いてしまうと、「幾らかやるから、これでもう少し旨いもの食べてよ」と言いたくなる事例がたくさんあります。

 ご一緒している会社では、アメリカの就労ビザも留学も不可能になったから日本に来ましたというインド人がいっぱいおり、またスウェーデンの会社からは「自社付近に移民が増えてしまって盗難や停電が増えたので都市部から地方へ引っ込むことにしました」というレターが届いたりもします。たぶん、何処の国もその国なりの良くない事情があり、フランスでも移民ではなくフランス人自らが黄巾の乱を起こしているぐらいですから、たぶん自国の恥ずかしい事情や問題点というのは自分で見つけて改善するぐらいしか方法はないと思うんですよ。

フランスでは、「黄巾の乱」もとい「黄色ベスト運動」が激化している ©Getty