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「年末年始の出勤を強要された」そんなときに読みたい実践的対策とは?

法律の権利を活用することで解決できる可能性がある

2018/12/31

 労働組合というと、「春闘」のような賃上げ交渉をイメージする方も多いと思うが、実はこのような職場の身近な課題を柔軟に話し合いによって解決していけることこそ、ユニオンの真骨頂であるといえる。

 ユニオンを活用することで、正社員とアルバイトで負担を押し付け合うのではなく、協力しあって、お互いにとってより良い職場を実現していくことができる。もし職場に働き過ぎで疲弊している正社員がいるなら、一度専門家や支援団体に相談することを勧めてみてはどうだろうか。

©iStock.com

連休で生活が脅かされる人々も

 一方で、冒頭でも述べたように、時給や日給で働く非正規労働者や派遣労働者には別の問題が発生する。これらの人々の収入は働く日数や時間によって大幅に変動するため、休みが増えると大きな収入減少につながってしまうのだ。来春のゴールデンウィークが10連休になることが決まったが、単純にこの間の収入がなくなると考えると、月収の3分の1近くの収入が減ってしまうということになる。生活への影響はものすごく大きい。

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 実は、このような場合にも、ユニオンの活用は有効だ。たとえば、自動車工場で働く派遣労働者が会社との交渉によって連休手当を勝ち取った事例がある。まさに労働者の生活実態に根ざした要求を実現した典型例だといえる。

 特に非正規雇用の場合には、企業の都合によって勤務日や就労時間が左右され、一方的に決められてしまうことが多い。しかし、本来、どれだけ働くかというのは、労使の合意によって決まるべき問題だ。自らの生活を守れるように、法律上の権利や制度を活かして、勤務日や就労時間を労使間の「交渉」によって決めるしくみを作っていくことが大切なのである。

 このように、労働法やユニオンを活用することによって、職場の状況や労働者の生活の実情に基づいて、問題の解決を図ることができる。お困りの方、特に過労により健康状態に不安を感じている方は一刻も早くユニオンなどの支援団体に相談してほしい。

 

INFORMATION

【無料相談窓口】
いずれも年末年始は相談電話が混み合うことが予想されるので、繋がらない場合はメールで連絡をとるとよいだろう。

ブラックバイトユニオン
03-6804-7245
info@blackarbeit-union.com
http://blackarbeit-union.com
※ブラックバイト問題に対応している個人加盟ができる労働組合。

NPO法人POSSE
03-6699-9359
soudan@npoposse.jp
http://www.npoposse.jp/
※正社員の方の相談にも対応。弁護士や労働組合と連携して問題解決を手助けします。

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