「年末年始に出勤を強要された」。「帰省しようと思っていたのに、勝手にバイトのシフトを入れられた」。年末年始が近づくこの時期、私たちのもとにはこのような相談が多く寄せられる。
一方で、工場で働く非正規労働者など、年末年始のような連休になると、収入が減少し生活が苦しくなるという問題を抱える人々もいる。来春のゴールデンウィークが10連休になることが決まり、不安を抱えている方も多いのではないか。
いずれの問題も、共通しているのは、働く日を一方的に決められてしまうという問題だ。実は、これらの問題は、法律の権利を活用することで解決できる可能性がある。今回は、この点について解説していこう。
「シフトの強要」にどう対処する?
先日、スーパーで働くアルバイトの学生がTwitterに投稿した写真が話題になった。写真はアルバイトのシフト表と思われ、その余白には、手書きで次のようなメッセージが書かれていた。
「わかっていると思いますが、12月22日から1月6日は出勤お願いします。帰省もあると思いますが、スーパーで働くということはそういうことです」
シフトの作成を担当する店員が書いたものであろう。アルバイトの学生に帰省を諦め、強い表現でシフトに入るよう求めている。投稿者によれば、年末年始も時給は上がらないという。それにもかかわらず強気に出勤を求める店側の姿勢に対し、投稿者は違和感を訴えていた。
この画像を見たネットユーザーからは、メッセージを書いた店員を非難し、投稿者に共感するコメントが相次いだ。同じような経験をした学生が多いようだ。読者のなかにも、学生時代にこのような経験をしたという方は多いのではないだろうか。
多大な販売ノルマが課せられることも
飲食店や小売業では、年末年始でも営業をするところが多い。昨今の人手不足を受けて年末年始の営業を見合わせる企業も見られるが、店舗にとってはかき入れ時でもあるため、それは一部の動きに過ぎない。
営業をするための人手が確保できずに苦しんでいる店舗は少なくない。というのも、筆者がこれまで「ブラックバイト」問題として訴えてきたとおり、こうした業種では、学生のアルバイトが店舗運営の主戦力となっていることが少なくないからだ。学生たちが帰省し、シフトに入れるアルバイトがいなくなると、たちまち店舗は人手不足に陥ってしまう。
このため、学生たちへの「シフトの強要」が後を絶たない。さらに、年末年始には多大な販売ノルマが課せられることも多い。学生たちの間では「年末が近づくと憂鬱になる」という声も聞かれるほどだ。