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まず、「契約」の内容を確認してほしい

 では、シフトに入ることを強要された場合には、どう対処すればよいのだろうか。この場合には、まず、「契約」の内容を確認してほしい。当初の契約で、週◯回、時間帯は◯時から◯時までといった形で定められていれば、その約束以上にシフトに入る必要はない。一方、勤務する日や時間帯があらかじめ「契約」で決まっていない場合、企業がシフトに入るよう求めることを規制する法律はないが、当然、労働者はそれを断ることができる。

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 しかし、法律上はそうであっても、実際には断りづらい。従わなかったことを理由に嫌がらせを受けたり、ペナルティを課せられたりすることがあるからだ。シフトに入るのを断った後に急激にシフトを減らされたという事例も多い。

 このような場合に役に立つのがユニオン(労働組合)だ。仕事のシフトをどのように決定するかといった日常の店舗運営について、アルバイトが個人で交渉することは難しい。このため、社内の労務管理について、労働者に過剰な負担が出ないよう「対等な交渉」を実現するために労働組合法が定められている。ユニオンに加入することで、企業と集団的に交渉でき、合理的な解決を図ることができるのだ。

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 トラブルになった場合は、すぐにユニオンに相談しよう。「ブラックバイトユニオン」など、アルバイトの相談を受け付けているユニオンも多く存在する。こうした個人加盟型のユニオンには、一人でも加入することができる。

塾の講師全員が書面で契約を交わすことになった

 ユニオンに相談して実際に解決した事例も多い。例えば、ブラックバイトユニオンのホームページには多くの解決事例が掲載されている。そのうち一つを紹介しよう。

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 塾でアルバイトをしていた大学2年生のFさんは、当初、週2日のシフトを希望していたが、塾長から週5、6日のシフトを強要された。大学の授業があってシフトに入れないと伝えても、「講師の都合で負担をかけるな」と無理やりシフトを入れられていた。

 Fさんは、ブラックバイトユニオンとともに塾側と団体交渉を行い、その結果、きちんとした雇用契約書が作成され、塾の講師全員が書面で契約を交わすことになった。そして、週3日、月曜日は休む、1日4時間を限度、22時半以降の仕事はしないといった事項が定められた。その上で、「学業安心シフト協約」というルールを作り、代行授業、試験監督などの通常シフト外の出勤を拒否できるなどといった規定を定めることができた。

 このように、ユニオンを通じて交渉することで、働き手の生活や希望に寄り添った働きやすい労働環境を作ることができるのだ。