「デモ隊が暴徒化した」のウソ
よく「デモ隊が暴徒化した」と言われるが、決してそうではない。破壊略奪を目的とする暴徒が便乗しているのだ。「黄色いベスト」運動に限らず、ここ数年、デモには必ずこのような暴徒が紛れ込んで、特に解散地点で暴れまわっている。
暴徒には「ウルトラ」「ブラック・ブロック」「カッスール」の3種類がある。「ウルトラ」は極右、「ブラック・ブロック」は極左で、「カッスール」は郊外の団地などに住む若者を中心とした略奪を目的とする人々である。三者はバラバラなのだが、現場で暴力という一点で連携する。
なお、「極右」といっても、マリーヌ・ルペン党首の「国民連合(旧国民戦線)」ではなく、ネオナチのような人々だ。また「極左」も、大統領選挙の候補になったメランション氏の「不服従のフランス」や共産党・トロツキスト政党とは違う。
「第4幕」となった12月8日。前回の反省から警備を集中せずに移動しやすくし、検問を厳しくして、1220人が連行された。それでも暴徒は現れたが、「第3幕」よりも被害は少なく「今日は、カオスが勝利しなかった」(パリジャン日曜版12月9日)。
この頃、ブルターニュ地方ではガソリンの販売量が制限され、地方のスーパーマーケットで食料などが品薄になっているというニュースが流れていた。おまけに、トラック運転手のストライキも予定されていた。流通が止まれば、都会は弱い。家人は1968年の「5月革命」を経験していることもあって、ウチでは食料の買いだめをした。トラックのストは回避され、とりあえずは杞憂に終わったが。
1968年の「5月革命」の頃は、ずいぶん気の利いたポスターや落書きがあったものだ。しかし、今のパリには全くない。スプレー塗料で「マクロン辞めろ」などと書きなぐった落書きがあるだけだ。