アサイーボウルが好きです
――少しプライベートなことを伺いたいのですが、佐々木さんはどのように休日を過ごされているのですか?
本を書くとか、会社とは直結しない仕事をしていますね。私は仕事中毒なので特殊ですが、ほかの社員に同じことを強いてはいけないなと思います(笑)。私自身も最近は疲れが抜けにくくなっていますし。
――ちなみに新著はどんな本になるのですか。
『日本3.0』というタイトルで、2020年以降の日本の政治、経済、仕事、教育、リーダーがどう変わっていくかを予測しています。って、また大風呂敷を広げてしまいましたね(笑)NewsPicksでも記事を月10本ほど書いていますし、本も執筆中でしたので、今月は1ヶ月で14万字ぐらい書きました。書くことは麻薬みたいなものですね。
――読み手としてはどんな本がお好きですか?
少し前まで時間がなかなか作れなかったんですけど、最近は読むようにしています。ビジネス書はほとんど読みませんし、小説もあまり読まないですね。
留学した時に国際政治を専攻しましたので、世界情勢の本はよく読みます。エマニュエル・トッドの本は全部読んでいますし、チャールズ・カプチャンという政治学者の『ポスト西洋世界はどこに向かうのか: 「多様な近代」への大転換』(勁草書房)はトランプ特集を組む上でとても参考になりました。マーク・ザッカーバーグが自分のブッククラブの課題図書に選んだことで有名になったモイセス・ナイム 『権力の終焉』(日経BP社)もとてもおもしろかったです。日経新聞の秋田浩之さんが書いた『乱流 米中日安全保障三国志』(日本経済新聞出版社)もおすすめです。
私は大局のゲームプランを描くことにワクワクする気質で、国際政治の枠組みでビジネスを考えるのが好きなんです。反面、細かいことは苦手で、事務作業は得意ではないですね。事務処理能力の低さにいつも驚かれます。お恥ずかしながら、デスク周りは乱雑の極みですし。
――骨太な読書傾向ですね。
あ、でもこの間、川村元気さんの新作小説『四月になれば彼女は』(文藝春秋)を読みました。川村さんは同い年ですが、尊敬しています。普段は、文春からサッカー雑誌まで、硬軟織り交ぜた雑誌を読み漁っていますので、そんなに骨太でもないですね。
――ちなみに映画はお好きですか?
ほぼ毎週、映画館で見ています。好きな映画を挙げると笑われるのですが、「ラストサムライ」が大好きですね。6回くらい観ました。「るろうに剣心」も良かったです。
――侍ものが好きなんですね。
大好きです(笑)。明治維新ものがとくに好きです。生まれは福岡の小倉なのですが、祖父は薩摩の流れを汲む人なので、維新の血がうずくのかもしれません(笑)。時代ものではありませんが、「八日目の蝉」もすごく好きです。今年(取材は2016年)観た映画の中では「湯を沸かすほどの熱い愛」がベストで号泣してしまいました。
今年は「君の名は。」「シン・ゴジラ」にかぎらず、邦画が復活しましたよね。興行収入という点だけではなく、見に行って「あたり」と思える比率が洋画より高かったです。これは出版界も見習わないといけないですね(笑)。今、ビジネス書でヒットするのは、翻訳書ばかりですから。この状況はちょっと寂しいですね。
――東海岸マインドの方に軟派な質問で恐縮ですが、好きなおやつは?
甘党なんですよ。最近はアサイーボウルが大好きで、コールドプレスジュースなんかも好きです。ただ、東京にはまだまだヘルシーフードを売っている店が少ないですね。いい店を見つけたら、女性ばかりのカフェでも、ひとりで佇んでお茶をしています。完全に浮いていますが(笑)。
――急に西海岸に戻りましたね。
そこは西海岸。しかも女子っぽいですね(笑)。
ささき・のりひこ NewsPicks編集長。1979年福岡県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒。スタンフォード大学大学院で修士号取得(国際政治経済専攻)。東洋経済新報社で自動車、IT業界などを担当し、2012年11月に「東洋経済オンライン」編集長に就任。2014年7月から現職。著書に『米国製エリートは本当にすごいのか?』『5年後、メディアは稼げるか』『日本3.0 2020年の人生戦略』。
写真=釜谷洋史/文藝春秋