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朝日は“高級な背広”、産経は“和服”……日本の「6大新聞」その傾向と対策

2019年の論点100

2019/02/05
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重要なのは自分の考えと反対の新聞も読むこと

 もしこれを若い方が読んでいるなら、一つだけアドバイスしたい。新聞を読むときに重要なのは自分の考えと近い新聞だけを読むのではなく、反対の新聞も読むことだ。一気に新聞が楽しくなるはずだ。同じ風景だけを見るより、反対側の席からも見たほうが「ああ、こちら側からはこういう見え方なのか」と思い、発見もある。新聞を野球場の席で喩えたのはそんな理由もある。ネットだけでは自分好みの見方に偏ってしまう。そんな人こそ新聞を利用すればいい。すでに気づいている方もいるかもしれないが、新聞を「信じよう」ではなく「利用しよう」というのが私のスタンスです。

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新聞は汚い言葉は使わずに代理で論争してくれる

 SNSは便利だが、自分の居心地の良い居場所に固まる場合がある。論争となればなおさらで、お互いに遠くから言葉をぶつけあっているようにも見える。もうちょっと相手の陣地に入って見てみるくらいのことは必要なのではないか。そんなとき「代理」の機能を果たすのが新聞の読み比べなのである。新聞は汚い言葉は使わずに代理で論争してくれるのだから、見物しない手はないのだ。

 さて、2018年は新聞にとって有意義な年だったと思う。朝日新聞の「財務省による公文書の改ざんをめぐる一連のスクープ」は世の中を騒然とさせた。いくらネットで事足りるといっても、依然として新聞が放った記事が世の中心となり、政治にも影響を与えたのだ。毎日新聞の「公文書クライシス」というキャンペーン報道もニュースと並走しつつ、さらに問題点を提起した。

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 人々に考えるきっかけを与えた点では、新聞はまだまだ衰えてないとアピールした年だった。新聞が元気だと毎朝ポストから取り出す瞬間がたまらない。2019年も朝からドキドキさせてほしい。

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