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箱根駅伝、勝負を決めたのは東海大8区“三上の給水”だった――箱根駅伝2019「TVに映らなかった名場面」復路編

箱根駅伝、勝負を決めたのは東海大8区“三上の給水”だった――箱根駅伝2019「TVに映らなかった名場面」復路編

2019/01/05
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【8区】東海・三上の給水が勝負を決めた!?

西本 ついに東海大がトップに立ったのが8区です。

西川 8区の小松陽平は練習ではめっちゃ強いんだけど、本番では練習ほどの結果を出せない“練習番長”のイメージが強かったんですよ。昨年の箱根は高田凛太郎と争って、結局出場できませんでした。ところが12月の日体大記録会でチーム3番目ぐらいの記録を出して、急遽合宿に連れて行かれたんです。それでも箱根で結果を出すイメージは持てなかったのですが、今回こんなに走れるやつだったのかと、本当に驚きました。小松が遊行寺の登りを走るなんて、考えただけでも怖かったですもん。

西本 普通に考えたら他の大学は、東海大のMJこと、松尾淳之介がきたほうが怖かったでしょうね。

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西川 そうですね。でも映像で見るとすっごい強気な顔してるんですよね、視線もブレてないし、ゾーンに入ったような表情で。そして15km地点がポイントでした。昨年の出雲駅伝でMVPを取り、今回故障で走れなかった三上嵩斗選手が給水をするんです。

東海・小松に給水する三上

西本 “三上水”ですね。これは全駅伝ファンが涙するシーン。実際、小松選手も“三上水”を飲んだ瞬間、グンと後ろを引き離してました。ここで勝負が決まったといっても過言ではありません。この時点ではすでに「GO東海」が駅伝ファンに浸透して、現地でも実感できるようになりましたね。

西川 そうですね。東海大が来るときは見やすい場所を譲ってくれたり、写真を求められたり。ただのダンボールだったのですが、選手たちのサインも入ってかなり進化しました。

ポール 8区マニアの僕としては今大会3つ目の“レジェンド記録”更新の話もしたいですね。21年間と最も長く破られなかった区間記録ですから! 僕は前々から記録更新の条件として、チーム力、暑さへの対応、コンディション、レース展開の4つを挙げていました。それに今回の小松選手の記録更新を照らし合わせると、まず東海大はチームとして層の厚さがある。また、今回陽射しはあっても、そこまでの暑さは感じなかった。レースコンディションも無風でバッチリ。そしてレース展開。東洋と競り合っていて普通ならあそこで仕掛けなくてもいいのですが、最終的な相手は後ろにいる青学だったんですよね。そのため早めに仕掛ける雰囲気があってそれが記録にもつながったんじゃないかと。