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麻原彰晃死刑執行 「極秘テープ」に残されたオウム真理教の真実【前編】――2018下半期BEST5

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2018年下半期(7月~12月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。社会部門の第3位は、こちら!(初公開日 2018年7月6日)。

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7月6日、オウム真理教の教祖・麻原彰晃(本名・松本智津夫)の死刑が執行された。NHKスペシャル「未解決事件File.02 オウム真理教」取材班が入手した700本を超す教団の極秘テープ。そこには、麻原の素顔と、麻原の“教え”によって極秘裏に武装化計画を進めるオウム真理教の真実が記録されていた。

(初出:「文藝春秋」2012年8月号)

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若いスタッフは「麻原って魅力ありますよ」

 取材を進める中で、今回NHKは、独自に700本を超す教団の極秘テープを入手することができた。その入手先については詳細を述べることはできないが、元々は教団のある幹部が、“教祖”の言葉を個人的に収集するために録音していたものだ。1995年の地下鉄サリン事件のあと、教団幹部が次々に逮捕される中、テープは元幹部の関係者の家に預けられ、さらに十数年の時を経て第三者の手に移っていた。その第三者も「これを持っていることで変なトラブルに巻き込まれたくない」と、たまたま取材に訪れた取材班のディレクターに「NHKで預かって欲しい」と託したのだった。

 テープは主に以下のような内容に分けられる。

(1)麻原の説法(一般信者向け)
(2)麻原の説法(出家信者向け)
(3)麻原と側近の会話
(4)麻原の完全オフレコ発言

©getty

(1)と(2)は、多数の信者に対する説法であり、麻原がどのように信者たちを引き付けていったかが明らかになる。様々な宗教からの文言を引用し時事ネタを随所に取り入れた説法はむしろある種の説得力さえ感じられた。このテープを連日のように聞いて文字におこしていた20代の若いスタッフたち。オウムの事件を詳しく知らなかった彼らが「麻原って本当に悪い人なんですか?」「麻原って魅力ありますよ」と口を揃えたほどだ。

 一方で、テープは“教祖”という神格化された存在とは程遠い滑稽な姿も映し出した。

 例えば麻原は説法で、繰り返し信者たちに「性欲」を抑えることを求めていた。オウムでは、出家の際に婚姻関係や恋愛関係にある男女は、それを解消するよう求められたし、教団内でも恋愛や男女間の行為は「破戒」と呼んでご法度だった。テープには89年、麻原が、「破戒」した幹部の降格を宣言する様子が記録されていた。

【幹部G、それから女性信者Fは、それぞれ19歳、21歳というかなり若い年齢だから、まぁ普通でいったら当然であると。しかし、やはり成就者としては、成就者らしき対応をしてほしいわけだ。どういうことかというと、実際にセックスまではいっていないと。しかしまぁそれに近い行為を行っていたと。彼らを信徒に格下げするのか、あるいは破門するのか】(以下、【 】内はテープより)