「俺は兵庫のアルカイダやぞ!」と急発進
その後も激昂してわめき続ける男性と、なだめようとする神主の攻防を遠巻きに見守っていた、まさにそのとき。不利な状況を悟ったのか、男性が突然「俺は兵庫のアルカイダやぞ!!! なめんな!!!!」と叫び、電動車イスを急発進させて神主の足にぶつけ、そのまま走り去ったのです。まさかのひき逃げです。スネを強打したらしくうずくまる神主。どんどん小さくなっていく兵庫のアルカイダの後ろ姿。
神主に対しては「不憫」以外の気持ちが出ない事件でしたが、自称・兵庫のアルカイダについては本当に交通安全のお守りをカバンに入れたことを覚えていないのか、それともこちらに因縁をつけてもう1つ騙し取ろうとしていたのか、いまだにその真相が不明なのです。今思えば交通安全も何も、買った直後に事故(ひき逃げ)ってたし。
例に出したエピソードは少し極端ではありますが、こうしたクレーマーやモンスター客に遭遇したとき、私たちはどう対処するのが賢いのでしょうか。接客業をしているとどうしても避けられない問題だと思いますし、未然に防ぐことができるものならまだしも、こちらに過失がなくても意味の分からない因縁をつけられることだってあるわけです。
バイトは泣き寝入りをしなくてはならないのか
コンビニバイトは、お客様から小銭を投げつけられても怒ってはいけないのか? お客様からケガをさせられても泣き寝入りをしなくてはならないのか? そう考えると、絶対にそんなわけないですよね。後者に関しては完全に傷害事件ですし……。
「お客様は神様だ」みたいな前時代的な風潮を、何も考えずにそのまま次世代にまで押し付けるのではなく、まず私たち一人ひとりが、店員さんが「一人の人間であること」を再度認識しなくてはなりません。そして、これは雇用側の企業にも声を大にして申し上げたいことです。行き過ぎた「お客様優先主義」は従業員を人間扱いすることもありませんし、ましてやクレーマーから守ってくれることもないでしょう。「お客様は神様だから、何をされても謝っておけ」というイカれた思想のもとでは、働き手がどんどん離れていってしまうことは明白です。人材が定着せず、いずれ自身の首を絞める結果になるのではないでしょうか。
個人的な要望としては、「ここまでされたらキレてもいいよ」という水準(マニュアル?)を企業側がスタッフ向けに設けてくれることが一番嬉しいです。現場の人間がそうやって戦える環境を作ってくれるだけでも、理不尽な客に対して「すみません……。申し訳ありません……」だけを無限に言い続けるあの地獄の時間を削減できると思いますので。何卒よろしくお願いいたします。