昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2019/01/12

菅官房長官の苦しい“言い訳”

菅義偉 官房長官
「辺野古側の埋め立て区域に生息していた移植対象のサンゴはすべて移植しており、環境保全措置にも最大限配慮しながら対応している。(首相は)そういう趣旨の発言をされたのだろう」

毎日新聞 1月10日

菅義偉官房長官 ©文藝春秋

 あらためて埋め立て区域を整理してみよう。現在土砂が投入されている区域は辺野古側の海の「区域2-1」。隣接しており、次に土砂投入が予定されているのが「区域2」。一方、大浦湾側に「区域1-1」「区域1-2」「区域3」がある。

 すでに移植したオキナワハマサンゴ9群体が生息していたのは「区域2」と大浦湾側だった(沖縄タイムスプラス 1月10日)。菅氏が言う「辺野古側の埋め立て区域」とは「区域2」のことだろうが、安倍首相の発言をフォローするには苦しい。そもそも約7万4000群体の移植が必要だというのに、9群体を移植しただけで「すべて」と言ってしまうのがすごい。菅氏は「(専門家を集めて防衛省内に設置した)環境監視等委員会の指導、助言を受けながら適切に対応している。まったく問題はない」とも発言している(朝日新聞デジタル 1月10日)。

 サンゴも大事だが、重要なのは首相が年頭から「フェイク」を公共の電波を使って発信してしまったという事実だ。誰かのレクチャーが間違っていたのだとしたら、首相自らあらためて訂正すべきだろう。

安倍晋三 首相
「普天間の返還を行うために、代替の基地である辺野古に基地を造りますよ、しかしその代わり世界で最も危険と言われている普天間基地は返還されるということであり、この計画を今進めている」

NHK『日曜討論』 1月6日

 これも安倍首相の『日曜討論』での発言。この点についても琉球新報は疑義を唱えている。まず、移設先が沖縄県内でなければならない理由はないこと、辺野古の新基地に普天間にない軍港や弾薬庫などの機能が備えられること、新基地の完成時期が見通せないこと、完成しても普天間基地が返還される保証がないことなどだ(1月9日)。

土砂投入が始まった辺野古の埋め立て海域(手前)。奥は米軍キャンプ・シュワブ ©時事通信社

「これらに対する説明を避けたまま、政府は普天間固定化か新基地かという身勝手な二者択一論を押し付けてきた」と琉球新報は続ける(1月9日)。一方、菅義偉官房長官が繰り返し言っているとおり、政府は一貫して「辺野古移設が唯一の解決策」と主張している。